東京からの転出者が過去最多!高まる郊外暮らしの需要

総務省が2022年1月28日に発表した2021年住民基本台帳の人口移動報告によると
2014年以来、東京23区で初めて転出者が転入者を上回りました。
参考:日本経済新聞
テレワークが増えたことなどから、東京都から近隣県への転出が増えているようです。
少しずつ地方に本社を移す企業も増えていく中、日本は東京一極集中から、変化していくのでしょうか。
物件を探している方の動向は?
確かに、コロナ禍以降に物件探しされる方の多くは
- テレワークで、居住スペース手狭になった
- 人口過密の状況で、都心で暮らすことのリスクを感じた
- 収入が下がる可能性があるので、住宅購入価格を見直した
などの理由により、郊外を検討する割合が増えているように感じます。
特に、テレワークをされる方においては、自宅でパソコン作業、電話等をしているので、家族間で気を使う場面が増えています。その為、ストレスが溜まって家庭内がギクシャクした方も。
コロナ渦による中古マンションの相場の変動
一方で、コロナ渦になったとはいえ、中古マンション相場が下がったかというとほぼ変わっておらず、高騰したエリアもあります。
新築マンション価格に引っ張られたり、コロナ渦による売却控えにより、需要と供給のバランスが崩れているからです。
参考:LIFULL HOME’S PRESS
都内中心部の中古マンションの販売戸数が減少、価格の高騰も関係し、郊外で中古マンションを探す方が増えてきました。
そこで今回は、
- 郊外暮らしのメリットデメリット
- 郊外で家を探す時のポイント
について解説していきます。
郊外暮らしのメリットデメリット
まず、郊外というと多くの方は、
- 通勤が大変
- 買い物に不便
- 車が必要になりそう
- 暗くて夜道が心配
などネガティブな印象があるようです。
実際に物件探しを担当した、H様のケースを出しながらそれぞれ解説していきます。
参考:わたしの家活
まず、H様が郊外で中古マンションの購入を決めた理由は
「価格が都内よりも安く、治安や眺望も良く、建物も新耐震で、広いのでリノベーションに最適だった」
というところでした。
H様が郊外移住して良かったと思ったポイント5つ
- 都内より価格が安い →月々の支払いが安心。賃貸より安くなった
- 治安が良い →都内で子育てするより安心
- 眺望が良い →家にいる時間が長いので開放的に過ごせる
- 新耐震 →築年数が浅いと相場が上がるが、郊外なら予算内で購入可能だった
- 広い →テレワーク等でもストレスがたまらない。リノベーションに最適
①都内より物件価格が安い
ここ5年くらいの間で不動産価格はどんどん上がってきています。
たとえ中古マンションでも都内は、新築時より価格が上がっていることも多いです。
逆に言えば、郊外のようにエリアを変えれば、検討できる幅が広がります。
H様の奥様は、とにかく固定費を下げたかった為、郊外へターゲットを絞りました。
②治安が良い
都内でも治安の良いところは沢山ありますが、郊外は郊外としての良さがありました。
駅前に繁華街が少ないので、夜暗くはなってしまいますが、車通りが少なかったり、人通りが忙しくなかったり、なんだか時間がゆっくり流れているようです。
好みはあると思いますが、のんびり暮らしたい方にはよいでしょう。
③眺望が良い
眺望の良さは、H様の中では高ポイントでした。
郊外なので自然が多く、都心の賃貸に住んでいた頃では見られないような、長閑な風景が。
家にいる時間が多いので、眺望が良いと癒されます。
春になるとウグイスの鳴き声が聞こえるそうです。
④新耐震基準の中古マンションである
マンションや戸建は、築年数は相場に大きく関係します。
都内で新耐震の中古マンションを購入するのと、郊外で新耐震の中古マンションを購入するのでは、エリアによって差はありますが、2倍以上の価格になることも多いです。
月々のローン支払いでは、10万円以上の差になることも。
築年数の優先順位を高くする場合は、郊外を選ばれる方が多いのはそういった理由からです。
⑤専有面積が広い
広さも、築年数と同じく、相場に大きく影響します。
テレワーク等から家で過ごす時間が長くなる為、現状よりもどれくらいプラスの広さが必要かを検討するのが良いでしょう。
H様は、当初55㎡以上の広さで探していましたが、最終的には70㎡の中古マンションを購入するに至りました。
差は15㎡で、約9帖。広さにかなり差がありますね。
郊外暮らしのデメリットは?
郊外ならではのデメリットもあります。
H様に住んだ後の生活について聞いてみました。
①都心に出るまでの時間と交通費がかかる
渋谷や新宿、東京駅に出るまでに、時間をお金がかかります。
もともとテレワークが多い為、そこまで負担にはなりませんが、たまに都内に行く際には、「遠いな~」と思うそうです。
②終電が早い。電車本数も少ない
都内に住んでいるころは、終電は0時を過ぎても沢山ありました。
しかし、郊外に引っ越してからは、0時を過ぎると終電がなくなります。
本数も少ない為、「これに乗り遅れたら、20分以上駅で待つ」こともあるそうです。
都内からの帰宅が遅くなる時は、電車時間を気にするようになりました。
③車の諸費用がかかる
H様のお住まいのエリアは坂による高低差があります。
よって、帰宅が遅くなる時や、荷物が多いときは、タクシーを利用することがあるそうです。
こういうことがあるので近い将来、車の購入を検討しているとのこと。
(駐車場の料金は都内と比べると安いのでその点メリット!)
④ショッピングは都会へ行く必要がある
最寄り駅の周辺で買い物が完結しない為、2~3駅先のターミナル駅まで行くか、都内へいくこともしばしば。
改善策として、ネットスーパーや生協を併用することで負担が減ったらしいです。
⑤夜道が暗い
帰路の途中に街頭が少ない道があります。
冬は、暗くなるのが早いので、帰宅時間を気を付けるようにしているそうです。
暗くて危ないかなというときはタクシーを利用します。
これらのように、郊外暮らしをする上で、気を配ることも出てきたそうです。
しかし、外出頻度や帰宅時間を調整したり、宅配サービスを併用したりすれば、十分カバーできるので、それほど気にはされていない様子でした。
それよりも、
- ローンに支払い
- 街の雰囲気
- 眺望
- 広さ
- マンションの築年数
などは、自分ではどうしようもない事なので、何を優先して、何を緩和するかを検討して物件を選んだそうです。
今後もこの流れは続くと予想
コロナ禍、テレワークだけでなく、郊外暮らしの需要は増えてくるでしょう。
- 首都直下型地震
- 富士山噴火のリスク
などを気にされる方も増えてきています。
都心のように建造物が多く、人口が過密していると、災害の時にリスクが高まることも。
中には、田舎で畑を持ちたいという人も増えてきているようです。
郊外暮らしの為の家を探す時のポイントは?
デメリットを理解する
まずは、郊外暮らしのデメリットを受け止めることが大切です。
- 通勤に時間をかけるなんて勿体ない
- 都内に住んでいる方が、仕事もプライベートも充実する
という、住むエリアが都内であることが優先順位上、高い人もいることでしょう。
上記のような郊外のデメリットを理解した上で、
「このくらいなら許せる範囲だ」とか、H様のように「固定費を下げたい」「眺望がよい建物が良い」「新耐震が良い」などの優先順位が絶対的に高い方は、郊外暮らしをおすすめします。
ハザードエリアに気を付ける
郊外は、川や山、海に近いエリアが比較的多いです。
H様のお家の近くは、高低差が多く、マンションが建っている近くに「土砂災害警戒区域」があります。
これは都内に住む場合も同じですが、一都三県は、洪水により浸水リスクの高いエリアが比較的多いです。
実際に住宅を決定する前に、実際に歩いてみたり、ハザードマップで確認するのが良いでしょう。
参考:わたしの家活
働き方を変える
お客様の多くは、「通勤時間」「乗り換え回数」を気にされています。
例えば、「勤務先が都内で、帰宅時間が遅いので、なるべく勤務先の近くに住みたい」といった場合、家にいる時間も遅くなりますし、固定費も高くなるので、本質的に良いかというと疑問が残ります。
私のお客様でコロナ渦前後で物件探しをした方がいました。
コロナ渦前は、都内(目黒区や港区)でリセールを意識した中古マンションを探されていましたが、コロナ渦になると、テレワークになった為、住みよいエリアを求めて、茅ヶ崎市で購入をされました。
本当は、海の近くでのんびり過ごすのに憧れていたそうです。
このように、働き方によって、大きく住まい方を見直す方もおらえます。
決断をするのは難しいですが、働き方を見直すのも一つ検討するポイントではないでしょうか。
まとめ
今回は郊外暮らしについてみてきました。
コロナ渦によりライフスタイルに変化が生じた人が多く、それにより、住宅購入についてコロナ渦前とは異なるところが出てきています。
考え方は人それぞれですが、郊外暮らしは、これからの我々のライフスタイルには
フィットしている部分が多そうです。
H様は、中古マンションを購入してリノベーションをしました。
その為に、中古マンションを探しましたが、エリアによっては、「住宅取得+リノベーション費用+管理費・修繕積立金」で17万円程になりそうでした。
今思えば、「都内も便利だけど、月々の支払いが厳しかったかもしれない」ということでしたので、現在の郊外暮らしは満足されていました。
最近では、郊外とはいえ、都内へのアクセスも開発により便利になってきていますので
行ったことのない郊外のエリアを散策してみるのもいいでしょう。
参考:わたしの家活