中古マンションの管理費・修繕積立金の適正額は?!

中古マンションを購入する際に、物件の価格だけでなく重要となってくるのが
- 管理費
- 修繕積立金
の金額です。
これらは、物件費用とは別にかかってくるもので、物件によって異なります。管理費、修繕積立金は、マンションを所有していると必ず支払うことになるので、住宅ローン+管理費・修繕積立金のトータルで見たときに、毎月払える金額なのかを確認する必要があります。




今回は、中古マンションを購入する際にチェックすべき管理費・修繕積立金の適正額と、将来的に急激な値上がりをしにくい条件の物件について調べてみました。
管理費・修繕積立金とは?
まず、管理費と修繕積立金について説明していきたいと思います。管理費とは、エントランスや共用部の清掃・防犯など快適にそして安全に生活するために環境を管理会社に整備してもらうために必要な費用です。
修繕積立金は、将来的に建物の経年劣化による補修をするために貯めていく費用のことで、築年数が経つほど(補修箇所が増えることから)価も高くなると言われています。これら管理費や修繕積立金のおかげで、建物をキレイかつ安全に保つことが出来ます。
しかし、中古マンションを購入するときにはこの管理費・修繕積立金を見極めないと、ローンを払い終えた後に高額な修繕積立金が必要となったりと、支払い面での負担が増えることもあるのです。






次は、中古マンションを購入する前にチェックすべき「管理費・修繕積立金」の適正額をみていきたいと思います。
管理費・修繕積立金の適正額は?!
結論から言いますと、管理費、修繕積立金の合計金額が、「400円~500円×専有面積(㎡)」前後が適正額であると言えます。
管理費は、管理会社によって異なる為、たまたま選んだマンションの管理費が高い!なんてこともあります。管理費と修繕積立金の金額の割合は以下が望ましいです。
「管理費≦修繕積立金」
管理費は管理会社への委託料、修繕積立金はマンションのメンテナンス料と考えると分かりやすいです。



上記を踏まえると、修繕積立金は、管理費と同じかそれ以上の金額感、というのが目安になります。
修繕積立金の適正額
これを踏まえて、「国土交通省が行ったマンション調査」のデータをもとに、修繕積立金の相場を見ていきましょう。
完成年次 | 平成20年 1㎡あたり月額相場 | 平成25年 1㎡あたり月額相場 | 平成30年 1㎡あたり月額相場 |
全体平均 | 156円 | 149円 | 164円 |
昭和44年以前 | 277円 | 253円 | 399円 |
〜昭和49年 | 212円 | 166円 | 173円 |
〜昭和54年 | 183円 | 163円 | 167円 |
〜昭和59年 | 170円 | 166円 | 154円 |
〜平成元年 | 163円 | 168円 | 171円 |
〜平成6年 | 177円 | 157円 | 245円 |
〜平成11年 | 147円 | 144円 | 172円 |
〜平成16年 | 132円 | 122円 | 143円 |
〜平成21年 | 112円 | 120円 | 136円 |
〜平成26年 | – | 132円 | 116円 |
平均 | 173円 | 158円 | 185円 |
(参考:国土交通省)
築年数が古いマンションほど、修繕積立金が高く、築浅になるにつれて、修繕積立金が下がる傾向にあるのですが、この理由は、多くのマンションで修繕積立金の徴収方式が、「段階増額積立方式」である為です。
段階増額積立方式とは?
段階増額積立方式とは、年数経過ごとに、修繕積立金の徴収額を値上げする方式のことです。
例えば、新築当初の修繕積立金はかなり安く設定されています。
それは上記が関係しています。



戸数 | 平成20年 1㎡あたり月額相場 | 平成25年 1㎡あたり月額相場 | 平成30年 1㎡あたり月額相場 |
全体 | 156円 | 149円 | 164円 |
20戸以下 | 163円 | 179円 | 205円 |
21〜30戸 | 151円 | 143円 | 158円 |
31〜50戸 | 154円 | 144円 | 166円 |
51〜75戸 | 155円 | 156円 | 134円 |
76〜100戸 | 154円 | 154円 | 147円 |
101〜150戸 | 155円 | 143円 | 130円 |
151〜200戸 | 195円 | 151円 | 135円 |
201〜300戸 | 119円 | 135円 | 154円 |
301〜500戸 | 158円 | 117円 | 461円 |
500戸以上 | 158円 | 189円 | 167円 |
平均 | 156円 | 151円 | 184円 |



戸数の少ないマンションではそこまでばらつきは見られませんが、一般的に値上げ幅は大きいとされています。
修繕積立金の貯蓄を修繕に使い、お金が無くなりまた貯蓄をするとなると、各世帯から徴収しますよね。
その場合、世帯数が多い方が、負担が案分され、そこまで多くの値上げをしなくても賄えることになるからです。



戸数以外では〇〇もチェック!
戸数以外では、エレベーター、機械式駐車場、専用プールなどの「設備」が関わってきます。









世帯数が多くても、タワーマンションのように設備グレードの高いマンションでは、高額のメンテナンス費用が必要な為、修繕積立金も上がりやすい傾向にあります。



マンションが高層になると修繕積立金もより必要になる可能性が
また、マンションの高さも影響します。



大規模修繕工事とは、マンションを定期的に修繕し老朽化を抑制する工事です。
マンションを長く安全に住めることを目的として、躯体を維持するための補修や共用部分の改修を行う、大がかりな工事のことです。12~15年毎に行うのが一般的です。
工事内容は主に外壁塗装になります。外壁塗装をすることで、酸化したマンションの外壁をコーティングするイメージです。
外壁塗装をするということは、高い場所での工事となります。その為、足場がたくさん必要になります。足場はあくまで、工事の際に必要になるだけで、マンション自体アップデートにかけられるお金ではありません。



どうしても高層マンションに住みたい場合
それでも高層階にすみたい場合は、戸数の多いマンションを選びましょう。
戸数の少ない高層マンションは、修繕積立金の貯蓄があまり多くはならない上に、大規模修繕工事の際の支出が大きいので、修繕積立金の値上がり幅が大きくなる可能性が高いです。



50㎡のマンションの場合で計算すると…
さて、先ほどの表から修繕積立金の適正額は「184万~185万/㎡」ということになります。
例えば、50㎡のおうちが欲しい場合は、185万×50㎡=9,250円ですね。
管理費が修繕積立金と同額なら、18,500円になりますので、管理費、修繕積立金の合計金額が「400円~500円×専有面積(㎡)前後」内で収まりそうですね。






補足:しかし、マンション修繕積立金に関するガイドラインの計算式によると修繕積立金の適正値は「200円/㎡」とされており、現在は、約6割のマンションが200円未満と、修繕積立金の金額が低い傾向にあります。
(参考:国土交通省「マンション修繕積立金に関するガイドライン」)
修繕積立金は、高すぎても負担になりますし、安くても不安です。修繕積立金の設定方法は、マンションそれぞれの状況によって決められています。
その状況とは、現在いくらの積立金が貯蓄されているか、将来的な修繕計画が、現状の修繕積立金の金額で賄えるか、が重要です。
それらを確認する資料が、「重要事項調査報告書」「長期修繕計画書」という管理書類です。
物件を検討する際にチェックすべき報告書
重要事項調査報告書は、分かりやすく言うと物件の”健康診断書”のようなものです。つまり、現在の修繕状況や貯蓄額が分かります。長期修繕計画書は、今後の修繕の予定が記されています。
つまり、これらの書類を確認することで修繕積立金の値上げの予測がしやすくなります。ですので、購入前にこれらの書類を確認することが大事です。
まとめ
中古マンションを購入する際には、物件の価格だけでなく、支払いを終えた後にも必要な
- 管理費
- 修繕積立金
の価格もしっかりとチェックすること。その相場の目安は管理費、修繕積立金の合計金額が、「400円~500円×専有面積(㎡)」くらいが相場で、その他には
- エレベーターの有無
- 建物の高さ
- 設備
も判断材料として活用すること。
また今後その物件の修繕積立金が値上げするか予測するために「重要事項調査報告書」や「長期修繕計画書」なども、チェックするようにしましょう。
そうすることで、将来の急な修繕積立金の値上がりを防ぎ、少しでも不安材料を取り除くことが大事です。



マンションを住宅ローンで購入する場合、ローン支払いのことばかり考えてしまいますが、老後も住む予定の家だからこそ、修繕積立金や管理費までちゃんと目を向けること。その為にも、やはり専門の不動産屋さんに、ちゃんと相談して良かったと思いました。
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