中古マンションは「新耐震」の方が「旧耐震」より良いの?!

中古マンションを購入する上で、検討しなければならないのがどのくらいの築年数のマンションにするかです。
なぜかというと、築年数によって影響してくる点があるからです。
築年数の中でひとつの基準となるのは「新耐震」「旧耐震」かどうかです。
【新耐震と旧耐震の違い】
簡単にいうと、昭和56年6月1日以降に建築確認がとれたマンションが、新耐震
それ以前が旧耐震です。
参考:ホームズ「昭和56年(1981年)以降の新耐震基準とは?」
建築確認申請時と、竣工時には少しタイムラグがありますので、おおよそ昭和56年9月~10月以降に完成したマンションが新耐震となるでしょう(昭和56年6月だとまだ境目なので、旧耐震の可能性があります)
旧耐震と新耐震の差
一般的に、新耐震のマンションは新しいから安心感があるし、良いのかなというイメージをお持ちの方は多いと思います。
今回は、新耐震と旧耐震の違いについて、解説していこうと思います。
耐震面での違いは?
【新耐震基準の場合】
新耐震基準は、震度6強~7程度の大規模地震に対し、ある程度の小規模な被害は許容するものの、倒壊などで命に係わる危害を及ぼすことのない程度の性能を有することを目標としています。
【旧耐震基準の場合】
一方、旧耐震は、震度5強程度の中規模地震に対し、ほとんど損傷しないことを目標とし、震度6~7程度の大規模地震に対する結果は予測不可能としています。

しかし実際の地震での結果はどうだったのしょうか?
東京カンテイの震災レポートでは、新耐震と旧耐震では、中破・大破では約3%の違いはありますが、軽微・被害無しは、ほとんど変わないということが記載されています。
引用元:東京カンテイ
旧耐震だからといって、一概に地震の被害を受けやすい訳ではないとも受け取れます。
耐震基準と同じくらい大事なポイント
では何で違いが出るのでしょうか?
...正解は「地盤」です。
埋立地より、内陸部の方が地盤は固いですし、河川の多いエリアより、丘や高台のエリアの方がしっかりしています。
いくら建物を強固につくっていても、地盤が弱いと倒壊リスクにつながります。
実際、土砂災害警戒区域のマンションでは(山や丘の上に建てられているマンション)では、たとえ新耐震であってもより、強固に建築しなければならないとされています。
よって、マンションは新しい築年数の方が安心感はありますが、地盤の状況も重要ということをおさえておきましょう!



お金(金額面)の違い
新耐震の中でも、築25年以下のマンションであれば、住宅ローン控除が適応となります。
★住宅ローン控除とは?★
住宅ローン控除とは、住宅ローンを借入れて住宅を購入する場合に、購入者の金利負担の軽減を図るための制度のことです。



その他の控除
また、耐震適合証明書を取得できるマンションの場合でも同様の優遇制度が受けられます。
それは
①新耐震基準のマンションであること
②旧耐震でも耐震適合証明書が発行できるマンションであること(確率は低いです)
です。
ちなみに、旧耐震でも耐震適合証明書が発行できるマンションは、下記のような特徴があります。
- 低層マンション
- 壁式構造
強度が高いとみなされ、耐震適合証明書の発行が可能なケースがあります。



引き渡しを過ぎると発行ができない機関があります。
また、上記の条件以外に満たさないといけない条件があります。
- 自ら居住すること
- 床面積が50m2以上であること
- 借入金の償還期間が10年以上であること
- 合計所得金額が3,000万円以下であること
- 増改築等の場合、工事費が100万円以上であること
基本的に新耐震基準のマンションでかつ、上記のポイントを満たしていれば、住宅ローン控除の制度を受けられますので是非利用していきましょう。
選択肢が多いのは新耐震と旧耐震どっち?!
最後に、物件探しの際に選べる物件の数はどのくらい違うのでしょうか?
築年数が古くなった方が、マンション価格が下がる傾向にありますが、その理由は、建物部分(内装の経年劣化)が減価償却していくからです。
一方で、土地の価値自体は基本的には大きく変動しません。
土地の価格は、市況の需要に比例にしますので、そう簡単に土地の価格は下がりません。
マンション価格が下がるということは、イコール、建物の上物価値がなくなってきているということなんです。
このことから、最近では、築40年くらいの中古マンション(内装はボロボロの状態)を購入して、自分の好きなようにリノベーションをする方も増えてきました。
都心エリア「渋谷区」の物件取引件数
では、参考までに、2019年度の渋谷区の取引件数を見てみましょう。
(広さや、マンションの土地権利などの詳細は加味していません)
新耐震の物件(渋谷区)
物件名 | 徒歩 | 成約価格 | 築年数 |
A | 6 | 4548万円 | 15年 |
B | 6 | 4400万円 | 15年 |
C | 5 | 4150万円 | 16年 |
D | 3 | 4500万円 | 17年 |
E | 6 | 4400万円 | 19年 |
F | 8 | 4980万円 | 22年 |
G | 9 | 4180万円 | 25年 |
H | 7 | 4200万円 | 30年 |
I | 7 | 3590万円 | 33年 |
J | 3 | 4800万円 | 35年 |
K | 5 | 3900万円 | 36年 |
L | 4 | 4700万円 | 36年 |
M | 7 | 3890万円 | 36年 |
N | 12 | 4450万円 | 36年 |
旧耐震の物件(渋谷区)
物件名 | 徒歩 | 成約価格 | 築年数 |
O | 4 | 3700万円 | 38年 |
P | 2 | 3780万円 | 39年 |
Q | 6 | 4150万円 | 41年 |
R | 6 | 3750万円 | 41年 |
S | 9 | 3980万円 | 41年 |
T | 5 | 3800万円 | 42年 |
U | 1 | 3700万円 | 42年 |
V | 4 | 3780万円 | 43年 |
W | 5 | 3780万円 | 44年 |
X | 3 | 2080万円 | 45年 |
Y | 8 | 4390万円 | 45年 |
Z | 3 | 1800万円 | 45年 |
AA | 8 | 2880万円 | 46年 |
AB | 7 | 3000万円 | 47年 |
AC | 8 | 4280万円 | 48年 |
AD | 12 | 3950万円 | 48年 |
AE | 5 | 2950万円 | 48年 |
AF | 5 | 3200万円 | 49年 |
AG | 8 | 3480万円 | 49年 |
AH | 12 | 4495万円 | 49年 |
AI | 12 | 4350万円 | 49年 |
AJ | 15 | 2400万円 | 51年 |
AK | 5 | 2250万円 | 51年 |
AL | 5 | 3180万円 | 51年 |
AM | 10 | 2500万円 | 52年 |
AN | 6 | 4920万円 | 69年 |
該当物件は、40件ですがその内、新耐震は14件、旧耐震は26件でした。
3分の2が旧耐震ということは築年数を古くすると、検討できる物件はかなり増えるということになります。
おおよそですが、価格は旧耐震の方がお手頃になっていますね。築年数の制限をなくすことで選べる物件の選択肢は広がりそうです。
築年数が古くなることで、住宅ローンの審査が厳しくなったり、リノベーション工事をする際に気を付ける点は増えていきます。その点は事前に把握しておきましょう。






好みや求める条件は人それぞれなので、自分の納得できそうな部分でバランスの良さそうな物件を探してみると良いでしょう。
まとめ
不動産屋さんに聞いたところ、耐震面は、新耐震・旧耐震の違いに加え、地盤がしっかりしているかどうかが大事だということが分かりました。
もちろん、新耐震の方が安心できますが、家を選ぶ際には建物だけでなく
- 立地
- 地盤
を、しっかりと見極める必要があります。もしも、気になる物件が見つかった場合にはその地域の「ハザードマップ」を検索して、見てみることをお勧めします。
また、土地の名前だけでなく古い地図などから埋立地や川近くの土地を見つけたり、過去に水害や地震の多かった地域などもチェックするようにしましょう。
そして、新耐震を選ぶ場合には一定の基準を満たすことで控除が受けられるというメリットもあるということがわかりました。



しかし、予算面で考えると旧耐震の中古マンションは相場が下がる為、他が同じ条件でも検討できる物件数はかなり増えるというメリットもあります。



コメント